九州新幹線長崎ルート、並行在来線をJR運行で合意

 九州新幹線長崎ルート建設問題で、長崎、佐賀県JR九州は17日、建設に伴う並行在来線肥前山口諫早間)は、JR九州が施設を両県に14億円で売却した上で、20年間運行継続することで合意。
 参考=12/18付西日本新聞
 長崎なんか博多から「かもめ」で2時間なんだから新幹線なんかいらないだろ、と思うがそれはともかく、この「資産は自治保有、運行は従来の事業者が継続」というのは、並行在来線の運営という点だけ見れば一番理想的なやり方だろうと思う。
 実は数日前に俺が上下分離について書いたことと同じだったりするので、ちょっと驚いた。
 西日本新聞によると、同区間の赤字額は年間約1億7000万円と試算しているそうで、約1億円はJR九州が負担し、残りは両県が施設譲渡でJRに払う14億円で賄うのだそうだ。要は施設代として14億先払いするけど、その分で20年間なんとかまかなってくださいね、ということだ。譲渡額も、7000万×20年=ということで14億にしたんだろう。毎年赤字に応じた補助を出すわけではないので、自治体としては余計な出費は避けられる。逆に運行会社側はそれ以上の赤字を出したら損失が増えるわけだ。運行会社側が納得さえすれば、これは新たな三セクなんかを作るよりよっぽど理にかなっている。
 期限を決めて契約するというのは外国の鉄道ではけっこう見られるが、そういう場合は最初に決めた期間以降をどうするかについて何かしらのオプションがあったりするようだが、今回のは何か取り決めはあるんだろうか?
 問題点としては、これははっきりいって並行在来線の経営分離に反対している地元の合意をすっ飛ばして新幹線を造るために考え出されたやり方に過ぎないんだろうなということだ。恐らく、ローカルの交通機関をどう運営していくかという何かしらのビジョンがあってこの方式にたどり着いたわけではないんだろう。イナカ出身政治家というのは新幹線と高速道路と空港以外の交通機関はどうでもいいと思ってる輩が大半だろうから、地元市町村的には必要ない新幹線が政治家と県レベルの役人の見栄だけで造られてしまう危険性をはらんでいるとも言える。
 まあともかく、並行在来線において新たに三セク会社を作る以外の選択肢ができたというのは大きい。俺としては、これでJR(もともとの運行事業者)以外の業者が参入してこられる方法ができれば、それが一番望ましい方法だと思う。