これからの屋代線の話をしよう。〜vol.2:のって考えてみた〜

 引き続き屋代線です。
 今までは漫然と、昼間は客少ないなあ、とか、夕方は高校生が乗ってるな、という程度にしか乗客の流れというのを認識してなかったのですが、調べ始めると実際どういう風に利用されているのか気になります。というわけで、どんな人たちがどのように乗っているのか観察しながら、朝と夕方の列車に乗ってみました。

  • 2月某日、朝下り〜須坂7:54発409列車に乗る〜

 朝の下り4本目。松代着8:17、屋代着8:39と、時間帯的に通学利用で賑わっているのでは、と思って乗ってみました。この日は雨だったので、普段よりやや利用者は多そうです。

 長野6:49発の信州中野行きで須坂駅には7:14に到着。409列車は須坂7:26着404列車の折返しなので、まだ入線していない。長野行きホームには上り列車を待つ乗客が続々やってくるが、同じホームの反対側で屋代線の列車を待つ客は0人。自分の乗ってきた下り列車からの乗り換えも0人だった。

 7:26 404列車が1両に数人の立客がいる状態で到着。列車の定員(1両120人、座席定員48人)を考えると、座席は定員どおりには座っていないとしても80人程度は確実に乗っていることになる。想像していたよりもかなり多い。降りた乗客は多くが長野線に乗り換えるようだ。
 降りない客も数人いる。どうやら7:39発の下り列車を車内で待っているらしい。他にも待合室代わりに使っている人がちらほら。ホームに待合室造ったほうがいいかも?

 7:30 長野行き普通が到着。乗り換え客は0。
 7:39 信州中野行き普通が到着。乗り換え客2人。
 7:42 長野行き普通が到着。乗り換え客1人。
 7:52 長野行き特急「スノーモンキー」が到着。乗り換え客0人。

 「やべえ切符買ってねえよ、バスみたいな運賃表示あるけどよ、どうすんだろ」。男子高校生が車内で会った友人に聞いている。恐らく乗り換えで、須坂までの切符か定期は持っているのだろう。「あんま乗ったことねえから知らないんだけどさ」。松代駅が最寄りの松代高校は生徒613人のうち定期券利用者は約50人*1、アンケートで「利用する」と答えたのは586人中156人という*2。
 

 7:54、定刻通り発車。発車時の乗客数は自分を除いて19人。長野線から乗り換えるより須坂駅から屋代線だけを利用する人が多いようだ。

 7:58 井上で1人乗車、1人降車。
 8:01 綿内で6人乗車、2人降車。ここで上り406列車(屋代7:29発)と交換。406列車も1本前の上りと同様、立客が1両に10人程度いたので、80人程度は乗っているだろう。

 8:04 若穂で4人乗車、2人降車。
 8:06 信濃川田で9人乗車、2人降車。
 8:09 大室で4人乗車。この時点で乗客数は36人、2両編成のうち先頭車はほぼ席が埋まった。ということは、さっき見た上りも1両に40数人が乗っていたとみていいだろう。

 8:12 金井山で4人乗車。
 松代8:17着。ここは有人駅(委託)なので全部のドアが開く。高校生をはじめ半分以上はここで降りた。

 8:24着の上り列車と交換するためしばらく停まる。当駅から乗ってくる人もちらほらいて、新たに7人乗車。上りはこちらの松代到着時と同じくらいかやや多い客を乗せ、少し遅れて到着。
 松代発車時の乗客数は23人。

 8:27 象山口で1人乗車。関係ないけど「佐久間象山」を「さくまぞうざん」と読む人はほぼ確実に長野県民ですね。
 8:31 岩野は乗降なし。
 8:34 雨宮で1人乗車。
 8:36 東屋代で15人降車。東屋代は屋代高校の最寄駅なので、降りたのはほとんど高校生。屋代高校は生徒852人中約40人が屋代線を利用しているという*3。しなの鉄道には「屋代高校前」駅があるので、屋代線沿線に住んでいるのでなければしな鉄を利用するのが普通だろう。
 8:39屋代着。到着時の乗客数は9人でした。

 定期券利用者(整理券を取らなかった人)は見たところ8割程度。雨なので普段なら自転車を利用する人も電車を使ったのでしょう。
 ちなみに松代の住民協議会が行った松代高校生へのアンケートでは、屋代線を「利用しない」理由のトップは「自転車のほうが便利」だったそうです*4。松代高校は駅から離れているとはいえ(公式サイトによると駅徒歩20分)ちょっと辛い。
 ただ、平地を走る短距離の路線で、駅から学校がやや離れているところでは同じようなケースは割と見られるようで、他の某地方私鉄でも「新入生が通学に慣れてくると家から自転車で通うようになって、2学期から定期の売上が落ちるんだよね」という話を聞いたことがあります。
 ただ屋代線の場合、松代8:17着の電車では学校に着くのは始業時間ギリギリになりそうな感じですし、1本前だと7:34着で早すぎです。東屋代(屋代高校最寄駅)も同様です。駅からの距離なども要因でしょうが、ダイヤにも問題があるんじゃないでしょうか。

  • 2月某日、夕方上り〜屋代18:28発424列車に乗る〜

 屋代には18:21、しな鉄の下り軽井沢行きで到着。夕ラッシュ時だけあって、こちらは6両編成で立客も多い。が、屋代線への乗換客は自分以外に1人だけ。
 2両編成の屋代線車内には自分以外に10人の客がいた。客層はネクタイ姿など、30〜50台後半と思われる中高年層の男女、あとは大学生くらいの年代の若い兄ちゃん。全員が携帯やPSPをいじっていて、鉄は見当たらない。客は増えないまま定刻に発車。

 18:30 東屋代で4人乗車。うち3人は高校生風なので屋代高校だろう。
 18:32 雨宮で1人降車。
 18:35 岩野で1人降車。
 18:39 象山口は乗降なし。

 中間駅で唯一の有人(委託)駅かつ交換駅の松代着、ここで3人が降車、11人が乗車。大半は松代高校の生徒。対向列車の客は10人程度。18:43発車。発車時点での乗客は自分以外に20人。

 18:47 金井山で4人降車(3人は松代から)。1人乗車。
 18:50 大室で1人乗車。お水っぽい女性、これから権堂にご出勤?
 18:53 信濃川田で2人降車(松代からの客)。
 18:55 若穂は乗降なし。
 18:58 綿内で2人降車(松代からの客)、2人乗車。
 19:01 井上で2人降車(1人は松代から)、1人乗車。
 19:06須坂着。到着時点での乗客は15人。ちゃんと見てませんでしたが、大半は別方面への乗り換えではなく、須坂で降りたようでした。

  • これで傾向見える? 

 まあこの程度のことで何が分かるわけでもないですが、無理やり傾向を見て取ろうとすれば、次のようなことは言えなくもないでしょう。
 1:屋代線内で「目的地」になっている駅は松代と東屋代
 2:最も目立つ利用は綿内−金井山間各駅〜松代間
 3:長野線からの乗り換えはあまりいない
 4:長野線への乗り換えはそこそこいるみたい?

 1:はそれぞれ松代高校、屋代高校の最寄駅なので、通学利用者が7割超という屋代線の利用実態を考えれば当然といえるでしょう。

 2、3、4は何を表しているかというと、「屋代線は屋代線沿線住民のための乗り物」だということでしょう。つまり利用者の多くは屋代線内相互発着か屋代線内発長野線内着で、長野線内から屋代線内やしな鉄沿線を目的地にしている人は少ないのではないか、ということです。
 屋代線問題の話で必ず出てくるのは沿線の高校への通学利用者のことですが、実は屋代線沿線から沿線外への通勤・通学利用者というのも(朝の上り列車の混雑を見る限り)もう少し考慮されていいのではないかと思います。
 私は屋代線に乗りに行くときはだいたい松代まで路線バスで行くのですが(バス停が近所なんで)、この様子を見る限り屋代線沿線から松代へ出てバスで長野へ向かう、という利用はほとんどなさそうに思えます。乗り継ぎが考慮されていないことと、金井山と松代以外なら運賃的メリットもないので(金井山〜長野間を屋代線・長野線経由で行った場合は880円、松代からバスだと電車180円+バス600円=780円で100円安くなるが、大室では830円・840円と逆転。松代以南ならしな鉄経由のほうが安い)、これは頷けます。


 前回「屋代線はもともと需要が少ないルート」と書きましたが、少なくとも朝方はバス1台には乗りきれない程度の需要は確実にあるわけで、ダイヤの悪さや他の交通機関との連携の悪さが利用者減少を招いている感は否めません。現在のダイヤがどの程度需要予測や利用者のデータに基づいて編成されているのか、が気になりました。

*1:信濃毎日新聞2011年2月4日付北信版33面

*2:信濃毎日新聞2010年9月9日付北信版26面

*3:信濃毎日新聞2011年2月4日付北信版33面

*4:信濃毎日新聞2010年9月9日付北信版26面