エールフランス−KLM、2010年から列車運行へ

 ヨーロッパの大手航空会社、Air France−KLMは、フランスの大手交通オペレーター、Veolia transportと合弁で、2010年から高速列車の運行に乗り出す。(参考=Railnews
 以前からそういう話はありましたが、本当に実現するようです。フランスの鉄道旅客運送事業は2010年にオープンアクセス(参入自由化)になるので、そのタイミングに合わせてということでしょう。次世代型高速車両・AGVの導入で話題になったイタリアのntvとほぼ同時期です。計画では、運行ルートはエールフランスのハブであるパリとKLMのハブであるアムステルダム間、さらにパリ−ロンドン間などで、10年の10月運行開始予定のようです。車両についてはアルストムと交渉しているらしいので、AGVを導入することになるでしょうか?
 ヨーロッパで航空会社による鉄道を使ったサービスといえば、かつてはドイツの「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」、今ならエールフランスの航空便からTGV、Tharysへの乗り継ぎサービスが有名なところですが、これらは航空会社と鉄道会社とが連携して行っているのに対し、今回の計画は既存の鉄道会社(SNCFやTharys)から見ればライバルとしての参入ということになります。以前からエールフランスは自社の飛行機との乗り継ぎに関してTharysのダイヤに不満を持っていたらしいので、だったら自前で運行してやろう、ということでしょう。
 航空会社による列車の運行(しかも連携サービスではなく「ライバル」として)なんて、上下分離が徹底されたヨーロッパの鉄道ならではでしょうね。JALANA東海道新幹線に独自の列車を走らせて、JR東海に対抗するようなもんです。燃料の高騰がこれからも続きそうなことを考えると、ほかの航空会社やベンチャー企業がさらに参入したりして、2010年代には本当に「格安高速鉄道の競争時代」が来るかもしれません。
 
 しかしこれ、発券はほぼ確実に航空会社のシステムでやるでしょうから、乗ればマイルがたまることになりますね。それを考えると「航空会社の列車」を選ぶ人もけっこう出てくるでしょうから、既存の鉄道には割と脅威になるかもしれません。実は私も、国内でも飛行機と列車で料金にあんまり違いがなかったら、マイルが貯まる飛行機を選ぶことがなかったりしなくもない…「鉄」失格か?

(9/19追記)
 Railway Gazette Internationalによると、やっぱり車両はAGVの導入を考えているようです。路線はパリ−ブリュッセルアムステルダム/ロンドンと、ドイツの数都市ということで、SNCF、DB、Tharys、Eurostarと競合することになります。