ムーンライトながら、臨時列車に格下げへ

 1日付朝日新聞のニュースなので今さらですが、やっぱりこれは書いておかないと。あの「ムーンライトながら」の定期運転が今年度末で廃止される見込みに。(参考=朝日新聞
 「鉄」でこの列車にお世話になったことのない人はほとんどいないんじゃないでしょうか?私もまだ愛称がなく「大垣夜行」と呼ばれていた時代から、何回乗ったか思い出せないくらい乗っています。夏休み、とりあえずどこかに行こうとなれば「ながら」か救済臨。165系時代のグリーン車も乗ったし、2001年夏の113系使用の救済臨にも乗りました。アレは評判悪かったですが、何より大垣着5:55になったのが画期的でしたね。なにしろ普通に乗り継げば岡山に昼前に着けるので、一気に行動範囲が広がった気がして、この年だけで5〜6回は乗ったんじゃないでしょうか。最後に乗ったのは、救済臨が「ムーンライトながら91・92号」になった2003年夏。私はこの年の秋に長野に移ってしまったので、それ以降は乗る機会がなくなってしまいましたが、「夏の旅」といえばまず思い出すのはこの列車です(あとは函館−札幌の「快速ミッドナイト」)。
 まあ、東京駅の発車時間が繰り上がり、ほぼ全区間指定席になった07年3月改正の時点で利用価値はほとんどなくなったな…と思っていましたが、これは臨時格下げへの布石だったんでしょうか。


 確かに、今や「青春18きっぷ」期間以外なら、この列車を使うより夜行バス*1のほうが安くて速かったりします。3列シート車なら、座席も373系より確実に快適です。
 でもバスは欠点として時間が読めないのです。正直なところ私は国内では夜行列車より夜行バスを遥かに多く利用しているのですが(18きっぷで昼移動+宿泊は夜行バス、というのが定番だった)、酷いときは豪雨による通行止めと渋滞で12時間遅れたことがある。列車ならそんなことはまずありません。だいたい、急行「銀河」の廃止のときも思ったことですが、新幹線がどんなに速く便利になろうとも、東京の人が朝7時までに名古屋に着けるだろうか?朝8時までに大阪に着けるだろうか?そういう需要は本当にないんだろうか?そして、それは本当に切り捨ててしまっていいものなんだろうか?
 JR貨物が夜行貨物列車の後ろに客車をつないで走らせてくれないものかと、本当に思います。例えば東京−大阪なら夜行バスが毎日ほとんど満席になるくらいの需要は実際にあるんだから。「みどりの窓口」なんか通さずに、飛行機のLCCみたいにweb販売限定、需要に応じた価格設定で、なんとかならないもんでしょうか?

 正直言って、こういうニュースを見るたびに国内の鉄道への関心が薄れていってしまうのを感じます。新幹線が速く便利になる、快適な特急ができる、それは結構。素晴らしいことです。でも「鉄道の旅の楽しさ」って、そういう人工的に作られた「快適さ」や「楽しさ」から得られるものだけなんでしょうか?夜行列車で朝早く着いた駅の空気や、乗り継ぎのために降りた特に用もない街でたまたま見た景色や会った人、食べたもの、飲んだ酒、そういう偶然や予期せぬ出会いが「好きなときに好きなところへは行けない」鉄道の旅の面白さだったんじゃないか、と思うのです。でも、そういうことに出会える機会はどんどん減ってきている気がする。
 だから、同じお金出すんだったらアジアのどこかにでも行ったほうが楽しいなあ、とどうしても思ってしまうのです。

*1:朝日新聞の記事もそうなんですが、「深夜バス」は普通の路線バスの終バスより後に走る割増料金のやつで、夜通し走る長距離バスは「夜行バス」というべきでは?某番組の影響なんだろうけど