長野新幹線開業10年

 10月1日で長野新幹線が開業から10年。ということは碓氷峠が廃止になりしなの鉄道が誕生してから10年ということでもある。
 はっきりいって新幹線は本当に便利だ。長野に住むようになるまでは、新幹線というのは割と縁遠い存在だったのだが、今では一番身近な列車といってもいいくらいだ。俺はけっこう頻繁に東京に行くので、東京の友人に「お前遠いのによく来るよな」といわれるのだが、こういうのは長野新幹線を使ったことがない人の反応だ。なにしろ新幹線なら長野―東京は1時間半しかかからない。例えば新宿を21時48分に出る埼京線に乗れば、その日のうちに長野に帰れる。速さという点で一番驚いたのは、正月に小田急沿線の実家に帰ったときだ。午後から長野で仕事だったのだが、なんと実家の最寄り駅を9時半に出る電車に乗れば、快速急行湘南新宿+「あさま」で12時には長野に着いてしまう。確かに新幹線は高いが、大宮乗り換えで東京都区内までなら6410円だから、松本から「あずさ」に乗るのとほとんど変わらないし、このスピードを考えればまあ納得できる(高速バスなら4000円だが所要時間は倍なので、コストパフォーマンスでいったら新幹線のほうがいい)。
 しかも新幹線は滅多に止まらない。台風や雪で県内各線(特に中央西線)が止まっても、新幹線はほとんどの場合「定刻通り」。この信頼性は凄い。よっぽど運が悪くない限り「東京で夜明かしして朝出勤」も全然問題ない。自然災害や悪天候のときは高速列車から運休していくパターンが多い気がするが、長野で最後まで粘るのは新幹線だ。道路や在来線がダメでも新幹線は動く。さすが莫大な資金を投入して造ったインフラの力は違う。
 イナカの人々が「おらが街にもフル規格新幹線を!」という気持ちは、東京にいた時には寝言にしか思えなかったが今となってはよくわかる。
 逆に言えばどれだけ東京に依存した生活をしているのか、ということもできるわけだが。そして、新幹線の存在は長野ではすっかり当たり前みたいになっているけれど、東京から200kmそこそこで、人口も40万人に満たない(冷静に考えれば在来線特急でもまあ事足りる*1)街に新幹線が延びているというのはけっこう贅沢なことだというのも、時には考えてみないといけないかもしれない。

*1:信越本線には碓氷峠という特殊事情があったから、一概には言えませんが