Today's Railways Europe 137 −リニアは死んだ−

 割とよく買ってるヨーロッパの雑誌、5月号を今更ながら入手。この号は4月末発行なので例のTGV速度記録の記事が載ってるだろうから記念として欲しかったのですが、表紙からして見事にTGVだった。
 まあ実験の内容はおおむね知っているからいいとして、一番インパクトがあったのは巻頭にある編集長Haydock氏の論説。曰く、この記録が世界に送る一つのメッセージ、それは
 「maglev is dead」
だそうです。要するにリニアモーターカーは終わりだってことだ。
 氏はいくつか理由を挙げている。一つはドイツ・トランスラピッドの事故を受けてだろうが、高架軌道上での事故時の救出が困難なこと。建設費が高く、どんなところでも醜い橋脚を建てなければならないこと。そして既存の路線を使った都心部乗り入れが不可能なこと。同等のスピードが従来の鉄道で実現できるなら、これらの問題があるリニアは何のアドバンテージもないどころか、むしろ不利ではないか−ということだ。
 実は新幹線は一部リニアの方に当てはまってしまう気もするが(基本的に高架新線だし)、なかなか考えさせられる文章だった。
 世界で唯一浮上式リニアを営業運転している国、中国でも上海−抗州間のリニア建設計画はストップしてしまったようだが、これから高速鉄道はどういう方向に進んでいくんだろうか。リニアの研究開発をしている国が事実上ドイツと日本だけということを考えると、世界的な潮流としては鉄車輪式鉄道のさらなる高速化という方向で進んでいくだろうという気はする。