来春登場、西武30000系

 かつて関東私鉄には明らかにイメージ的な「序列」があった気がする。簡単に言えば西高東低というか、東急東横線を筆頭に田園都市線小田急、京王…といったところが上位で、東武、西武というのはこう言っちゃなんだがやや落ちる、という感じがあった。これはたぶん、俺や鉄ヲタに限った印象ではないと思う(よく泉麻人とかもこういうこと書いてましたね)。
 しかし実は東武や西武はイメージ先行の関東西郊私鉄と比べて、実質的にはかなりクオリティが高いと思う。まず乗り心地はどちらもかなりハイレベルだし(特に西武)、西武の信号システムはほぼATC並みで高密度の運転が可能だ。東武複々線を着実に延ばし続けてきた。最近はマシになったとはいえ今までどっちもダメダメだったよな>小田急
 そんなわけで来年1月、西武に登場する新型車30000系(pdf)もかなり良さそうな車両だ。
 E231ベースや日車ブロック構体のステンレス車が増える関東私鉄の中で、東武と西武だけはなぜかアルミダブルスキン構体(日立A-trainだと思う)を導入しているが、今回もそうなっている。同様の構造を採用している20000系や東武の50000はとてもいい車両だと思うので、これは期待できる。しかも裾絞りの入った2930mmの幅広車体だ。
 いろいろとゴタゴタの続いた西武はこの車両を「新生西武のシンボル」と位置づけたいようで、デザインも最近の通勤電車にしては個性的でなかなか力が入っていると思う。一番利用者が多いはずの通勤車をシンボルカーにしようという発想は意外と見られない気がするが、結局大半の利用客が実際に触れるのはこういう普通の車両なわけで、俺的にはかなり評価したい。
 今や関東西郊の私鉄にはE231もどき車両が跋扈し(一応言っておくと、俺はE231はとてもいい車両だと思う。ただ私鉄各社にも蔓延するのが趣味的にはつまらないというだけ)、孤高の存在を貫く「最後の砦」だと誰もが思っていた京急ですらあんな車両(もちろん新1000形6次車のこと)を導入するようなご時勢になってしまった。そんな中で、個性的でクオリティの高い車両を作っている西武、東武には今後も期待したい。