小田急の新車4000形、今秋登場

 全然知らなかった。千代田線直通用の新車4000形が9月から営業運転開始するとのこと。プレスリリースはこれ(pdf)。
 そろそろ千代田線直通用の新車が出るという噂は前からあったが、出るなら9000形かな?と思っていたら4000ときた。4=「死」というような発想なのかどうか、4の付く形式を避ける鉄道は未だにあって(東急は3000の次が5000。メトロも03の次が05)正直下らないと思うのだが、小田急は現行の最新車種が3000なので、この付番は非常にまっとうだ。まあどうでもいい話ですが。
 車両のイメージイラストを見ると、正面は3000形とはちゃんとデザインを変えている。3000形の正面窓ピラーの位置から考えて、どうせ千代田線直通車も3000に非常扉付けただけのデザインで造るんだろうと半ば諦めていたのだが、いいほうに裏切ってくれた。全体の印象としては、やや傾斜した前面や、小田急史上初となる左側オフセットの非常扉から都営新宿線の10-300に似た印象を受けるが、ちょっと変わったヘッドライトの形や、窓上まで青く塗られているところなんかが東急世田谷線の300形(の青い編成)に似ている気がしなくもない。ただ、個人的には窓上の青塗装はなくていいと思う。ちなみにこの青は「インペリアルブルー」と書かれている。現行の小田急ブルーはロイヤルブルーなので、色調が変わるのだろうか。イラストだとなんともいえない。
 新機軸として強調されているところは「全密閉型モーター」。今の3000形でもかなり静かなほうだと思うが、果たしてどのくらい静かになるのか。ホームとの段差縮小はすでに3000形でも車高を下げているので、特に変化はないだろう。ドアの戸当たりや床の色を変えて目立たせるのはJR東日本の最近の車両と同じ。座席については特に書かれていないが、どうなるんだろうか?個人的には3000形は少し硬すぎる気がするので、京王9000くらいのが理想的なのだが。
 さて、このプレスリリースで俺が一番注目した点はあっさりと「JR東日本E233系をベースとし」と書いちゃっているところだ。3000形は見た目が似ているというだけでJRのE231とは大部分が別物だったわけだが、今回は完全なE233クローンなんだろうか?3000形はデザインははっきりいってどうしようもないし、インテリアもE231のほうが良いと思える部分が多々あったりするとはいえ、他所のステンレス車のようにベコベコ凹んだり波打ったりしていない完全にフラットな外板や、その厚い外板が生み出している(と思う)静粛性、さらに加速度なんかは類似車両をはるかに凌ぐ素晴らしいものがあって、そのへんに小田急のスピリットを感じたのだが、今回はどうなるのだろうか。JRのE233は通勤電車として極めて完成度の高い優れた車両だと思うが、「完全に同じ」だとちょっと…。実はイラストで描かれているドアが、ガラスが一段凹んだE231タイプのものなので少し嫌な予感がする。正面デザインを変えただけでほかは全くE231と同様の相鉄10000が登場したときは、「相鉄みたいな個性の強い鉄道がこんな車両を作るのか…」と、悲しい気分になった。どうせならいきなり連接車とか外吊り式ドア採用とかやってくれても面白いのだが。
 まあそんなヲタのつまらんたわごとはおいといて、これで車両の若返りがまた進むわけだ。10連7編成を新造するということなので、これで今の千代田線直通用1000形10連8本を地上線の運用にまわすのだろう。となると、当然ながら80両の余剰が出る。5000+5200を計8本廃車にするのか、それとも運用変更で必要な編成数を減らし、今残っている5200形を全部廃車にするのか…?いずれにしても「20世紀後半の小田急」を代表する車両の命脈が尽きる日は目に見えて近づいてきた。急行新宿行きだったら代々木上原を出たあたり、というところまで来ているのだ。
 しかし1000形も登場から20年か。けっこう鮮明に覚えているのでそういう気がしないなあ。