中国に250km/hの寝台電車

 しばらく中国の鉄道ニュースを調べてなかったら「寝台新幹線」ともいうべきこんな列車が営業を開始してたんですね。CRH2(E2系1000番台)ベースの高速寝台電車が登場。(参考=chineserailways.com中国南車集団四方機車(製造メーカー)のページ(英語版)。)
 形式はCRH2Eで、08年12月21日から北京−上海/杭州間で営業運転を開始したそうです。北京−上海間の所要時間は9時間59分で、従来より約1時間半短縮されたとのこと。編成は8M8Tの16両で、両先頭車が座席車(2等)、中間の8号車が食堂車で、残りの13両が寝台車。寝台車の定員は520人、座席車は110人で、編成での定員は630人だそうです。写真を見ると、寝台電車ということで側面の窓割りが変わっているのは当然ながら、前頭部も日本のE2系タイプではなく、やや目つきの悪いヘッドライトがボンネットに追加された、350km/h対応のCRH2Cタイプです。
 写真を見る限り内装はシンプルで清潔な感じ(殺風景ともいえるが)。壁面が白、ベッドや座席は柄の入った青を基調としたカラーリングです。寝台は4人個室で、それぞれのベッドに個人用のTVが備え付けられています。特筆すべき点として、車内照明にはLEDライトを使っているようです。鉄道車両の車内照明でLEDライトを導入した例は初めてではないでしょうか?
 Railway Gazette Internationalによると、ボンバルディア製のCRH1(スウェーデンReginaがベース)の寝台版も登場しているようですが、こちらは写真が見当たりませんでした。編成等はCRH2Eと同じようです。

 昔、子供の頃に見た鉄道図鑑には「将来は全国に新幹線網が整備され、寝台新幹線も走る…」というような解説とともに961形寝台車の試作車の写真が載っていたのを覚えていますが、それから20数年?の時を経て、日本ではなく中国で「寝台新幹線」が実現するとは誰が想像したでしょうか。
 鉄道の高速化は、多くの国で「長距離列車の昼行列車化」にもつながっていると思いますが、国土の広い中国では夜行列車も高速化の波に乗っているわけですね。同時に、これまで客車列車が主体だった中国でも、寝台車まで含め電車(動車組)の投入が進んでいるということに、旅客列車(高速列車)の動力分散型化が世界的な趨勢になっていることも感じます。

 しかしこの寝台電車以外にも、単機で9600kwの出力を持つ電機(HXD3B、ボンバルディアとの技術提携)が登場してたりして、中国鉄路の発展恐るべしです。私は昔ながらの長距離列車で中国からユーラシア大陸を横断するのが憧れなんですが、今のうちにやっておかないといけないのかも。