中国の北京―天津間高速新線が試運転開始

 来月開幕の北京オリンピックに向けて中国が準備中の北京―天津間高速新線が1日、試運転を開始。(参考=毎日.jp

 例のCRH3(中国版ICE3)とCRH2-300(中国版E2-1000の300km/h対応型)が走る、営業最高速度300km/h(設計は350km/h)の路線です。開業は8月1日で、両都市間を約30分で結ぶ予定。記事によると、鉄道省の技術者は「世界で運行中の軌道鉄道では最速」と言っているそうですが、現在世界で最も営業最高速度が高いのはTGV東ヨーロッパ線の320km/hなので*1、これは恐らく表定速度のことを指しているんでしょう。
 車両について、記事中では「車両は独シーメンスから技術を導入し、中国が独自に設計した」となってますが、CRH3は以前書いた通り車体幅が広がった以外はほとんどICE3やAVE103のコピーといえるでしょう。
 6月24日には、同新線上で中国の鉄道最高速度となる394.3km/hを記録したとのこと(参考=Railway Gazette International)。中国国際放送の記事では「これは、現在世界で運営されている鉄道の最高速度です」と書かれていますが、営業運転用車両を使った高速試験では史上最高、という意味なんでしょうか。そう言われてみればICEの406km/hは試験車だったし、TGVも515km/h、574km/hの2回とも特別仕様の編成だったんで、実際の営業運転用車両による速度記録としては最高かも。まあ、今回のこの速度記録は要するにシーメンスの技術が優れているからじゃないか、とは思いますが…。
 オリンピックと同時に高速新線開業、というのは日本やスペインもそうでしたが、中国の鉄道の動きはなんとなく昭和30年代の国鉄を思わせるところがあります。2007年に「CRH」シリーズが各地に投入されたダイヤ改正(第6次大提速)は、キハ82の投入で全国に特急列車が走るようになった昭和36年10月のダイヤ改正(サンロクトオ)、今回の高速新線開業は昭和39年の東海道新幹線開通・・・といった具合に。まあ高度成長期だということなんでしょうが、国の広さを考えると航空利用がさらに普及してくるであろう今後、鉄道がどういう風に進化していくのか、ってのは、政治的などうのこうのはとりあえず置いといて興味のあるところです。単純に各地の都市規模を考えると、軌道系交通機関が未発達な部分が目立つので、いずれは都市近郊に新駅をガンガン増設して近郊形電車を走らせるようなこともあるかも?(ないか)
 ちなみに先日台湾に行ったときは、なんとなく「東北新幹線開業後の国鉄」というか昭和50年代後半〜末期の国鉄的な雰囲気を感じたのですが(車両云々とは別に)、それはまた今度。

*1:軌道系交通機関という意味なら、中国の上海リニアが430km/hで最高。これもトランスラピッドなのでドイツの技術利用