TGVが踏切でトラックと衝突

 19日午前9:30ごろ(現地時間)、スイス国境近くのフランス東部、Tossiat付近の踏切で、パリ発ジュネーブ行きTGVと、立ち往生していたトラック(セメントミキサー車?)が衝突。トラックの運転手が死亡、TGVの乗客34人が負傷。
 衝突したのはTGV Lyria 6561列車で、パリ・リヨン駅発7:10、ジュネーブ着10:35。踏切での事故なので、当然ながら高速新線ではなく在来線区間だ。車両はLe Figaroにあった写真を見ると(というかルート的にもそうだけど)TGV PSEだが、さすがに編成番号まではわからない。というか、スイス紙「Le Matin」にある写真を見ると先頭車は車番がわかるどころじゃないくらい潰れている。AFPとかの写真は最後尾を撮ったやつばっかりだったが、さすが地元紙(なのか?)。
 「TGV Lyria」というのはフランス―スイス間のTGVの愛称、と思っていたら、実はこれ2005年から運営はSNCFとSBBの合弁会社Lyriaがやってるんですね。確かにSNCFTGVのサイトには「Lyria」の項目はなく、その代わりLyria独自のサイトがある。以前は確かLigne de Coeurという愛称だったと思う。パリ―ジュネーブ間はツアーの広告なんかを見てもコースに組み込まれていることが多いし、けっこう日本人にも利用されてるルートですね。
 TGVの踏切事故は過去に何回も起きているが、ここを見る限り負傷者数でいえば今回の事故は大きいほうだ。踏切事故では過去に1回死者が出ている*1
 TGVは200km/h以上の高速走行中を含めて何回も事故が起きているが、それでもテロで爆破された時と1回の衝突事故以外、乗客乗員に死者は出ていない。要は「高速走行だから」という理由では死者の出る惨事は起きていない。今回の踏切事故の写真を見てもそうだが、客車部分は脱線しても線路からの大幅な逸脱や転覆はしていない。これはよく言われるように連接構造の強みだろう。新幹線も地震時の対策で線路からの逸脱と転覆を防ぐ構造が研究されているが、TGVの事故例は、高速走行中に脱線したとしてもとにかく転んだり大幅に線路からはみ出したりしなければ被害は少なく抑えられる、というのを実証していると思う。
 高速鉄道網は世界中にどんどん広がっているので、事故例や安全対策が国際的に共有されたりすればいいのかも。あるいは既にUICとかで行われているのか?まあ企業秘密もあるから難しいかもしれませんが。

*1:1988年、規則違反の重量物運搬車と衝突、脱線はしなかったが衝撃で2人死亡