南海高野線の線路上にヘリが墜落

 27日、大阪府堺市の南海高野線我孫子前〜浅香山間の線路上にヘリが墜落。ヘリに搭乗の2人が死亡。
 これって実は一番怖いパターンの事故だ。なにしろ鉄道側では防ぎようがない。まあ走行中の列車の上に堕ちてくるというのはかなり低確率だろうが、制動距離内に入っていたら衝突は免れない。空港や基地周辺で滑走路の延長線上にある線路なら普通はシェルターがかかっているが、今回の事故は普通の住宅地だ。確率的には滅多にないが、ある意味でどこでも起こりうるともいえる。
 考えたくない話だが、俺は新幹線でもし大事故が起きるとしたらこのパターンだろうと思っている。新幹線は完全立体交差だし、線路上を跨ぐ道路なんかはけっこう厳重にガードされているから、もし跨線橋の上で事故が起きたとしても線路上に車が落ちてくることはまずないだろう。天災に関しても、地震検知はかなりのレベルのようだし、中越沖地震以降は地震でも脱線転覆しないような機構の開発が進んでいる。でも、空から降ってくるものははっきりいってどうしようもない。
 線路上に飛行機やヘリが墜落すれば架線が切断されるだろうから、「何か異変があった」というのはすぐ検知されるだろう。かなり前、東海道新幹線の新横浜あたり(だったと思う)で線路脇のコンクリート壁が爆破されたことがあったが、この時は駅員が異常な架線の揺れに気づいて列車を止め、大事に至らずに済んだというのがある。*1だから「何かが堕ちた」というのは分かるだろうが、そこで列車を止めようとしても新幹線の場合はブレーキをかけてから停止までに最大で2kmかかる。今回のヘリくらいならぶつかっただけなら何とか平気かもしれないが、高架線上に堕ちて高架が崩落したらどうしようもない。
 これは鉄道に限らず高速道路だってそうなんだが、車と鉄道だと制動距離が全然違うし、避けることは絶対にできない。だからといって全線にシェルターをつけるわけにはいかないし、付けたところで飛行機が堕ちれば壊れるだろうから意味はない。飛行機側でなんとかしてもらわない限りはどうしようもないだろう。
 まあ世界的に見ても、走行中の列車に飛行機が堕ちたとか、堕ちた飛行機に列車がぶつかったという話は聞かないので、まさに現代の「杞憂」なのかもしれませんが。

*1:こういうのを聞くと、鉄道員ってすごいなと改めて思う。1987年の2月だったか、朝のラッシュ時に小田急の百合ヶ丘―読売ランド前間の斜面が崩れたことがあったが、この時も崩落よりだいぶ前に通過した列車の運転士が異変に気づいて警戒していたので大事に至らなかった、というのがあった。