小海線のハイブリッド列車・キハE200に乗る


 「世界初」の営業運転開始から約1ヶ月、やっと乗ってきました。乗車区間小淵沢清里―野辺山―中込。
 結論からいって、これはかなり面白い車両だ。いくらハイブリッド・システム搭載の画期的車両といっても乗る分には普通の車両と変わらないし2時間も乗ってりゃ飽きるだろう、と思っていたんですが全然飽きなかった。
 まず、エンジンが回っていないときの走行音の静かさはかなりのもの。乗っていてももちろんだが、駅で発車するところを撮っていたらあまりに静かなのに驚いた。発車時はバッテリーの電力で動き出すのでエンジンの音は全くせず、ほんの僅かにインバーターの音が聞こえる程度、あとはジョイント音だけ立ててスーっと走っていく。直後に普通のキハ110なんかがやってくると、普段はなんとも思わないのにとてもうるさく感じてしまう。
 客室内にはトイレの横にハイブリッド・システムの動作状況を示す液晶ディスプレイがあって、今はエンジンで発電中とかバッテリーの電力で駆動中とか、電気の流れがグラフィックで表示されるようになっている。これも面白いのだが、運転台にあるモニターには当然ながら動作の様子がより細かく表示されていて、見ていて飽きなかった。俺はご多分にもれず多くの観光客や鉄らしき人々と一緒に運転席の後ろに陣取っていたのだが、前面展望もそこそこにこのモニターばっかり見てました。とにかくエンジンやモーターの動きが面白いのだ。

 この画像は小淵沢発野辺山行き列車で撮影したもの。一番左にあるのがエンジン、右側の丸いのがモーターを表している。下に2つ並んだ、半分赤くて「5」と数字が大きく書いてあるのがバッテリーだ。この画像は力行中で、エンジンも回って発電している状態。発電された電気は水色の矢印が示すようにモーターとSIV(サービス用補助電源)に流れ、さらに黄色の矢印が示すようにバッテリーへの充電にも回っているのがわかる。これが回生ブレーキ動作中なら矢印はモーターからバッテリーへの方向になったりと、状態に応じてどんどん切り替わっていくのだ。これが面白い。
 小淵沢―野辺山間は連続上り勾配なのでけっこう頻繁にエンジンが回るが、野辺山を過ぎて下り勾配に入ると、発車から次の駅までほとんどエンジンが回らないときもあった。バッテリーの残量表示?は俺が見たときの最大値は「7」だったが、たとえ下り勾配でパワーが必要なくてもSIVには常時給電されているので、これが次第に7から6、6から5へと下がっていく。これはそろそろエンジンが回るか?と思うと、運転士が回生ブレーキを使ってすぐに充電状態になり、またバッテリーの数値が上がっていく。すごい省エネ運転だ。
 かと思えば、バッテリーの表示は「6」なのにエンジンが動き出して発電状態になったりもする。要はバッテリーの残量でエンジンの運転/停止がコントロールされているわけではないみたいだ。一体どういうタイミングなんだろうか?すごく興味深い。 
 車両デザインも最近の車両の中では個人的にかなり好印象だ。貫通扉やホロがあるにもかかわらずゴチャゴチャせずすっきりした正面、側面も黄色のドアと黒の窓回り、「HYBRID TRAIN」の文字をデザイン化した水色の配色はセンスがいいと思う。車体は軽快な感じなのに、屋根上にはバッテリーユニット、床下にはエンジンやインバータを積んで重装備なところも迫力があっていい。
 というわけで、これは最近乗った車両の中ではかなりのヒットでした。
 今回も動画を撮ってきたので後日アップします。