TGV EST EUROPEEN開業!

 世界最速・最高速度320km/hで走るTGVの新線、TGV EST EUROPEEN(東ヨーロッパ線)が今日、ついに営業運転を開始!これでパリと南部を結ぶ南東線・地中海線、西部のアトランティック線、北部やベネルクス諸国を結ぶ北ヨーロッパ線と合わせ、フランスの東西南北すべての方向にTGV路線が拡がったことになる。
 開業した新線区間はパリ―ストラスブール間406kmで、新線上の駅はパリ側からシャンパーニュ=アルデンヌ、ムーズ、ロレーヌの3つ。いままで在来線経由で4時間かかっていたのを2時間20分に短縮というからかなりのスピードアップだ(将来的には360km/h運転で1時間50分に短縮するらしい)。ストラスブール行き以外にも路線図を見ると8ルート(フランス国内4、ほかはフランクフルト、シュトゥットガルトルクセンブルグチューリッヒ)あって、始発駅もパリだけではなくリールやボルドーからの便もある。やっぱりネットワークという点でTGVは凄い。在来線に乗り入れられるのももちろんだが、パリ郊外で各線を繋ぐジャンクションが整備されているのが大きいんだろう。あくまでフランス国内の路線なのに「東ヨーロッパ線」なんてずいぶん大きく出たな、さすがフランス、と思ったが、EU的には将来のワルシャワ方面への高速鉄道網の一環と考えているようなので、あながちおおげさというわけでもないようだ。
 この路線、車両にそれほど新味がないのがちょっと残念だけど、注目はドイツのICE3が乗り入れてくること。ヨーロッパを代表する仏独の高速列車が同じ路線で見られるのは楽しいし、本格的にヨーロッパ国際高速鉄道網の時代が来たんだなあと感じる出来事だ。ある意味ではEUの象徴的路線か?ちなみにTGV-POSは定員360人、ICE3は413人だそうなので単純にキャパの比較ではICEの勝ちだ。乗り心地はどうなんでしょう?
 東ヨーロッパ線は「フランスの地図を塗り替える」とかの前評判だったので、フランスではけっこうな話題になってるんだろう、とFigaroやLe Mondeのサイトを見てみたのだが、そこまでの大ニュースにはなっていない。…と思ったら今日はフランス総選挙の日だったのね。話題性という意味ではちょっと残念な開業日だったかもしれない。


 しかしヨーロッパはもうすっかり高速鉄道の時代になったんですね。今回のTGV開業によって今まで走っていた同ルートの客車国際列車がいろいろ廃止になったりもするので、各国の客車が入り乱れて編成された国際列車に憧れてヨーロッパの鉄道に興味を持った俺としては残念な部分もなくはないのだが、何よりそうでないとやっていけない時代なのだろうし、各国自慢の高速列車が相互に直通するようになるのはそれはそれで面白さがある。
 もう夏が近づいてきてますが、休みがそれなりに取れたらこの新線に乗りにヨーロッパに行きたいなあと密かに計画してます。パリからTGV EST EUROPEENでストラスブールに行ってトラムに乗り、ミュールーズの鉄道博物館に行ってチューリッヒに抜け、そこからcisalpinoでミラノへ。ミラノからはEurostar cityで南イタリアに行ってローカル線の旅、とかいいなあ…。