上海鉄路迷的探訪1:上海鉄路博物館

 北京には実車を大量に静態保存しているでかい鉄道博物館があるそうですが、上海鉄路局のサイトを見るとメニューのところにこっそり(でもないが)「博物館」という項目がある(ちなみに上海鉄道博物館のサイトはこれ)。それならば鉄としては行っておかねばなるまい。というわけで行ってみました。

 建物はかなり立派。これは1909年に完成した上海駅(上海北駅)のレプリカだそうだ。

 門で入場料10元を払って敷地内に入ると、まず左手にどかんとアメリカンスタイルの蒸機+客車が展示してある。蒸機は軸配置2-8-0のテンダー機、KD7形641号機。中国の蒸機には全くといっていいほど無知なのだが、説明を見るとアメリカンスタイルなのも当然で、1946年アメリカ製(メーカー名を記録するのを忘れてしまった。ボールドウィンか?)。戦後復興で連合国が援助物資として供給したものだそうです。たぶん韓国やソ連にも同型車が入っていると思う。アメリカの支援で供給されたということで、「じゃあSNCFの141と同型か?」と一瞬思ったが、141は軸配置2-8-2だし全然違う。俺の馬鹿。
 機関車の後ろにつながれているのはこちらも1920年アメリカ製の展望車で、当時の中華民国政府の上層部が使ったという車両。ビジネスカーとかそういった類か。標記は「PRIVATE」、中国語では「包車」と書いてあった。窓上に半円形飾り窓のついた優雅な車両。カーテンがかかっていて車内が見えないのが残念だ。

 静態保存車は上記の蒸機、客車を含め全部で3両だが、中でもこいつはなかなかのものだと思う。雲南省のナロー(600mm)で活躍していた軸配置0-10-0、アウトサイドフレームのテンダー機。これも1928年のアメリカ製(やっぱりメーカー名記録忘れた)。腰の低いプロポーション軌間とは不釣合いなほど大柄な車体、いかにもナローの大型機という感じだ。完全にピッカピカに整備されていないところも現役時代の雰囲気があっていい。上海に運んできたのは2000年ということなので、それまで現役で活躍していたのか?そういえばかなり前、レイルマガジンで見たような記憶がある。

 館内は撮影禁止ということで、それなりに人もいたし(親子連れが主)写真は撮れなかった。屋内展示は写真と資料が中心だが、通票閉塞機がある昔の小駅の事務室を再現したコーナー(日本のローカル駅みたい)とか、中国最初の鉄道「呉淞鉄路」の機関車「pioneer」のレプリカもある。この機関車はまるで炭坑用のナローかなにかのようにかなり小さいのだが原寸大らしい。コンピューターで貨車の入換シミュレーションみたいなのができるやつもあったのだが、ずっとお子様がやっていたのでできなかった。「日本軍の攻撃による惨状」という展示もあった。
 展示の最後にはDF11G形ディーゼル機を模した外観の部屋があった。係員が「入れ入れ」というので中に入ってみると、視聴覚室のように前には前面展望を映し出すスクリーンがあり、椅子が並んでいて客が座っている。運転シミュレーターのようなものだ。ということはこの人たちはみんな運転体験の順番を待っているんだな、と思ったら、なんと係のおっさんが実演しておしまい。それでも割とみんな楽しそうだったので「へえ…」と思ったのだが、そういえば中国の鉄道はかぶりつきができる車両はなさそうだ。そうすると、確かに前面展望というのは新鮮なのかもしれない。
 全体的感想としては、「他に行きたいところがあるならわざわざ行く必要はないが、まあ行ってみてもいいかな」という感じでした。
 
 住所は天目東路200号。バス停は「天目東路浙江北路」が近かった(上海火車站から2つか3つくらい)。地下鉄だと3、4号線の宝山路が近そう(博物館から駅が見える)。開館時間は9:30-11:30、14:00-16:00。