中国鉄路初乗車・CRH2に乗る

 突然ですが上海に来ています。
 中国の鉄道は前から乗ってみたいなと思っていたのだが、今回ついに初の中国上陸を果たし本物に乗ることができた。乗ったのは以前にも触れた中国版E2-1000、「和諧号」ことCRH2だ。

 最初は特になにも考えず、とりあえず列車に乗れればいいや、ということで蘇州に行こうと上海駅へ。駅にはあちこちに「全国鉄路4月18日第六次大提速(ダイヤ改正)」の垂れ幕やら看板がかかっていて、例の中国版E2系「CRH2」の絵がでかでかと描かれている。駅は話に聞いていた通りの大混雑だったが、それほど長く並ぶこともなく20分くらいで(エジプトより全然マシだった)順番が回ってきて、筆談と英語(English speaking serviceという窓口があった)であっさり切符を購入できた。まあ当日の近距離列車だからだろう。しかし「硬座」はなくて「軟座」だけと言われ、しょうがないので軟座を買った。
 発券された切符を見ると列車番号はD420次、10時40分発南京行き。ということで指定の待合室に行って改札開始を待つ。「ホームには自由に入れない」と聞いていたが、本当に空港みたいな感じで、待合室に入る前にも切符のチェックとX線荷物検査があった。中にはコンビニやらいろんな店があって「駅ナカ」は充実している。というか、何日もかかる長距離列車もあるんだからないと困るだろう。
 待合室は超巨大で、これも空港やフェリーターミナルの搭乗ゲート前ロビーのような感じ。数本の列車で兼用していて、時間になると呼び出されるようになっている。指定された待合室を探すと、そこには「CRH」のマークが…ということはこの列車はCRH2使用なのか?D420次はすぐに改札が始まったので速攻でホームに下りてみると…いました。CRH2。

 写真を撮ろうとホームをうろうろするが、人が多すぎるのとホームが暗いのと先頭車を撮ろうにも全然引きが取れないので断念。車内に入ると…完全にE2-1000としか言いようのない空間が広がっていた。なんだか日本に帰ってきてしまったかのような気分。シートのファブリックや木目の壁や、座席後ろのテーブルに車内案内のステッカーが張ってある(もちろん中国語だけど)まで同じだ。CRH2は日本で製造したのと中国でライセンス生産したのがあるそうだが、俺が乗った車両は窓ガラスの刻印を見るに中国製の車両だった。


 俺の指定席にはおっさんが勝手に座っていたので「俺の席ここなんだけど」と切符を見せていうと、「連れがこっちにいるもんで、俺の席と代わってくれないか」みたいなことを言う。どうせ通路側に変わりはなかったので、しょうがないから代わってやった。しかし中国人は何を持っているのか知らないが、みんなやたら巨大な荷物を持っている。前の席に来た人たちも超巨大荷物を3個も持っていたが、E2の荷棚だとちょっと狭そうだ。
 ちなみに俺の切符は「軟座」だから上位クラスのはずなんだが、車両は日本でいう普通車で、表記は「二等」だった。つまりこの列車に硬座はないということか。編成を見ると日本でいうところのグリーン車と思しき車両があったが、じゃああれは何なんだ?もっと上位の特別席があるんだろうか。
 定刻10時40分に発車。加速はスムーズで、というかいつものE2と同じ。だが線路は高速新線とかではなく在来線だから多少揺れる。とはいっても、在来線でこのレベルはかなり高い。発車して数分でLEDの掲示板に「206km/h」の表示。車窓にはなんとなく函館本線とかを思わせるだだっ広い風景が広がる。さらに246km/hまで加速。揺れはいつもの「あさま」とたいして変わらない。ただ少しうるさい、と思ったらデッキのドアが開きっぱなしだった。
 高速化対応区間は一部なのか、160km/h台まで減速してしばらく走ると、LED掲示板にもう「蘇州」の表示。ガイドブックなんかには「蘇州は上海から1時間くらい」と書いてあるが、なんと約30分で着いてしまった。定刻到着。列車は南京行きだが、ほとんどの乗客が唯一の途中停車駅である蘇州で降りた。ちなみに駅のホームはCRH2(と特快?)の停まる部分だけかさ上げしてあって、広電宮島線のような感じになっている。

 定時運行をかなり気にしているらしく、ホームには拡声器を持った駅員が何人もいて「さっさと列車から離れろ」「もっと内側歩け」みたいなことを叫んでいる。そんななか時間通りにD420次は発車。人が多くてどう撮っても人が被ってしまう。中国鉄道の写真を撮るのは手順を考えておかないとけっこう大変だ。