上海鉄路迷的探訪3:上海軌道交通

 上海の地下鉄は「軌道交通」と書いてあって一瞬路面電車かと思ってしまうが、普通に地下鉄、というか「都市内高速鉄道」だ。ほとんど地上区間の路線もあるからこういう表現なんだろうが、まあ確かに正しい。そういえば台北も淡水線は大部分が地上だったがあっちも「地下鉄」じゃなくて「捷運」だったな。やっぱり漢字文化の国では「地下鉄が地上ばっかり走るのはおかしい」と思うんだろうか。
 市内各地で工事が進んでいるようだが、今のところは5路線。5号線には残念ながら乗れなかったが、他はそれなりに乗ってみた。日本地下鉄協会発行の「世界の地下鉄」によると軌間は全線1435mm、架線集電で直流1500V、右側通行。
 車両は見たところ全線が5ドアロングシート車の6連でワンマン運転。塗装は3号線以外はホワイトグレーをベースにラインカラーの細い帯(昔の京王より少し太いくらい)が窓下に入っている。ドア間はだいたい6人掛けで、ドアの開口部は日本より広い感じがしたので1.4mくらいと考えると車両全長は概ね22〜3mくらいか?幅は日本と大差ない。戸袋部にはLGかサムスンの液晶ディスプレイがあってCMを流していた。そういえば液晶ディスプレイを各地に設置して広告を流すビジネスで成功した中国人青年実業家の話を新聞で読んだことがある。
 駅には時刻表はないが、「列車があと何分で来るか」をリアルタイムで表示するディスプレイがある。ただし終電は意外と早い。パンフによると終電の早さは4>3>1>2の順で、なんと4号線は21時過ぎで終わってしまう。一番遅い2号線も23時ごろ。そんなに早いと思わなかったので、俺は終電を逃してしまった。

 1号線は路線図を見る限り一番長く、南北に延びる線でラインカラーは赤。ホームドアの設置を進めているようで、一部の駅(人民広場とか)ではすでに作動していたが、上海火車站や上海南站では配線むき出しのまま工事中だった。なんとなくそういうのは中国っぽい気がする(ちなみにホームドアはウェスチングハウス製だった)。区間運転があるようで、北に向かう列車(共富新村方面)では上海火車站止まりというのもけっこうあるようだ。ホームドアのおかげで写真は撮れず(撮ろうと思えば撮れたんだけど)。車両は見たところ2タイプで、開通時に導入したと思われる車両(前面貫通扉あり、ドアは普通の両開き)と、3号線と同型の新型車があった。前者は窓ガラスの刻印を見るに恐らくドイツ製(シーメンスか)だと思う。

 2号線は東西に走る路線でラインカラーは黄緑。宿をこの路線沿いに取ったので一番乗った。車両は1号線初期タイプと同型の車両と、写真の車両の2タイプ。これは4号線で走っているのと同型で、窓ガラスの刻印を見るとこれは国産っぽい(あるいは海外メーカーのライセンス生産?)。各線とも車内に製造銘板とかがなかったので製造メーカーがわからないのが難点だ。あとナンバリングも意味不明だった。形式はどうなってるんだろうか。

 3号線は別名「明珠線」というらしく、全線高架でラインカラーは黄色。宝山路―宜山路間は4号線と線路を共用。沿線は高層マンションがバシバシ立ち並ぶニュータウン的な風景が目立った。やっぱり2010年の万博に向けての大規模再開発なんだろう。ここで走っているのはアルストムの「METROPOLIS」シリーズの車両。側面ドアはプラグドアで、窓も含め全体がガラスで一体化されたようなデザインになっていてけっこうかっこいいが、色彩感覚はやっぱり中華風な感じがする。ちなみに1号線で見た新型車はこれと同型で、塗装がシンプル(車体肩の赤塗装がなく、窓下に赤ライン一本だけ)な分そっちのほうが洗練された感じだった。

 4号線は将来的には環状線にする計画のようで、路線図を見るとそのように描いてある。ラインカラーは紫。3/4号線併用区間だと両方の列車が来るので面白い。車両は1/2号線初期型タイプと3号線のアルストム製のいいとこ取りをしたような形で、先頭部は貫通扉付きながらやや流線型、側面ドアはプラグドア。中国製か?

 3/4号線の駅。かなり近代的で、なんとなく小田急複々線区間の駅を思い出す。しかしこの駅前でも路上でいろんな食い物を売っているのがさすが中国だ。俺はそういうのはなかなかいいと思う。
 しかし上海でも台北でもローマでもカイロでも他の都市でも思いましたが、基本的に都市鉄道というのはどこの国・街でもだいたい同じつくりで、それゆえ乗り方も迷わない。自動改札機、両開きロングシートの簡素な電車、電光掲示の行先、色分けされた路線図。ある意味で無国籍だし、「鉄道」というよりは電話や自販機やエレベーターみたいに、近代都市を動かす装置の一部、パッケージ化された製品という感じがする。そういうのは趣味の対象にならないという人も多いのだろうが、俺はけっこう好きだ。